R7年(2025)節分祭 はらはらどきどき 節分の夕方、半ズボンをはいた男の子はとんどに西南西の方向から点火していった。松の枝に巻き付けた布切れをトーチ代わりにして、顔を真っ赤にしながら、トーチを持つ手を伸ばす。 節分祭は地元の神社の恒例の行事になっている。立春の前日の節分に、とんどの火にあたり邪気を払い無病息災を願う。 今年で神社の世話人をしてから七回目の節分祭。これまで雨が降ったことはない。今年も穏やかな正月が過ぎてからほとんど雨らしいあめは降ってない。それなのにその日が近づいてくると、天気が続きすぎていることが反対に心配になりだした。 ちょうど一週間前の日曜日、節分の日の天気予報がでた。案の定、不安が的中し、週末の土曜、日曜に傘マークがついていた。今年の節分は雨まじりの不安定な天気のようだ。でもまだ一週間ある。心のどこかで「きっと、神さんが雨から守ってくれるだろう」と思いながら、組み上がったとんどをブルーシートで覆った。 それから毎日ドキドキしながらスマホで天気を見る。月曜日、火曜日、朝起きるとお天気情報をスクロールした。もう、今日は水曜日。節分はもうすぐなのにまだ傘マークが消えない。 なにかお願いごとをするとき、神さんに手を合わせる。奉仕作業で境内に出向くことが多いので、神社に行くと本殿に向かって二礼二拍手一礼しているが、特に願い事をするわけでもなく、「おはようございます」とあいさつ程度に頭を下げている。あまり頻繁に願い事をしすぎると、ご利益が薄まってしまいそうなので、ここぞという時のためにとっている。 でも、今日は真剣にお参りをした。 「予報では、節分の日の天気が雨降りになっています。どうか雨が上がりますように」 合わせた手に力が入る。木曜日も金曜日もお参りした。でもまだ傘マークはとれない。一生懸命拝んでもやっぱり無理なのか・・・・・・とあきらめかけた時、雨雲レーダーを見ると土曜日の午後から雨が降り出すが、日曜日の午前中に上がる予報になっていた。 「えっ、ほんまに」 傘マークは土曜日も日曜日もとれてないが、とんどの時間帯には神社の上から雨雲が消えるようだ。やっぱり神さんに願いが届いたんだと思うとほっとしたが、なにか不思議な力を感じてしまう。 節分の朝雨が上がり、昼過ぎには雲のすき間からお日さんが照りだした。とんどにかけたブルーシートをとる。賑やかに化粧をしたとんどが、まぶしそうに笑顔をほころばせた。 点火してしばらくすると、まるで龍が空に向かって邪気を払うように火炎を噴き、パチパチと音をたてながら夕闇を燃やす。とんどの火にあたりながら神さんに手を合わせてお礼をいった。 ハラハラドキドキの一週間だったが、そんなことを知らない子供たちは、炎に照らされた境内をキャーキャー言いながら走り回っている。 |
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